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2008年11月13日 (木)

人件費の変動費化

人事賃金制度を顧客に提案する際に、必ず人件費の総額管理について触れています。趣旨は人件費は固定化しやすいので、できる限り変動要素を取り入れて売上の増減に柔軟に対応しましょうというものです。

労働分配率の高い企業においては、特に強く奨めています。労働分配率の高い企業は、人材能力に高度な要求があり、それなりの技術であったり、危険を伴っていることが多い場合があります。この場合、高付加価値、高人件費になっているのですが、これを一般的な標準指標と比較して良し悪しを判断することは無意味と考えられます。したがって、変動要素を多く取入れて、人件費の硬直性を柔軟にして、労働分配率が高い水準で一定値を保てるように仕組みを考えます。

人件費を変動費化しようとすると、成果主義による賃金は避けて通れません。昨今は成果主義の批判を目にすることも多いのですが、これはマスコミのネタになりやすいという要因もあるのでしょう。私の関係先では、成果主義の導入で今までの問題が相当改善され、社員の意欲も伸び、全体に緊張感が溢れるようになった企業もあります。最近の世界的な不況が言われる下において、ある企業は「外部的要因で売上が下降しても、人員の削減なしで当社は乗り越えられるだろう。むしろこの機会に優秀な人材を採りたい」と。公表されていないだけで、おそらく成功している企業は世の中にたくさんあると推察します。

人件費の変動費化において従業員に担保しなければならないのが「情報公開」です。「なぜそのような人件費原資なのか」を明らかにすることは従業員からすれば当然でしょう。そこで納得できれば、「賞与半減もやむなし。しかし、次回の賞与を倍増するにはどうするか」となるのです。お金がすべてではないですが、多くの従業員の強い動機付けになることは確かです。

情報公開で必須なのが、「人事考課」と「企業業績」です。どちらもその管理には高度な合理性、客観性が求められます。人事考課は公平性と人材育成が、企業業績には恣意的にならない計数管理が必要です。これらを整えようとすると、業務の見直しに踏み込まなければならないこともしばしばです。しかし、この2つをしっかりと公開しなければ人件費の変動費化は成功しないでしょう。

景気がよくなると苦い思いはついつい忘れてしまうのですが、もはや高度成長期に生まれた仕組みは捨て去らなければなりません。過去のしがらみに遠慮することなく、未来を先取りする仕組みを断行することの重要性を思い知る時期が来たのかもしれません。

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