人材育成の前に・・・
人材育成は多くの組織において重要課題なのですが、成功しているケースにはなかなかお目にかかれないと思います。成功しているケースを目にすることもあるのでずが、それは人材育成制度がいいのではなく、「本人の素養がいいから」と思える節も多々あります。多くの場合、失敗かどうか確認のしようがないので、実態がよくわからないのが実情ではないでしょうか。
ビジネスシーンを目の当たりにする中、人材は次のようにグループ分けできるのではないかと思います。
①「言われなくてもできる人」
②「言われてできる人」
このグループはさらに
②-1 「言われた以上にできる人」
②-2 「言われたことしかできない人」
③「言われてもできない人」
どうでしょうか。部下を持ったことのある人なら、即座に納得できる分類ではないでしょうか。
組織において問題となるのは、当然「②-2」と「③」(消極的グループ)に属する人たちです。なんとか能力を底上げしようとあれこれ指導、教育するのですが、なかなか満足できるレベルまでは到底到達できません。
「正法眼蔵随聞記」(道元)の一節に「柔和の言を以ていさめすすむとも、随ふべくは随ふべきなり」とあります。これは「上の者が弟子の間違いを正して戒める際に大声で怒鳴るべきではない、穏やかな言葉で改めさせても従うものは従う」と言っています。荒々しい言葉で人をしかりつけることを禁止している趣旨なのですが、背景にある思想は「どんな言い方をしようが理解できる人はすぐに理解できる、理解できない人はいつまでも理解できない」ではないか思います。
とすると、消極的グループに属する人たちに「①」や「②-1」(積極的グループ)に属する人材育成を適用しても効果はゼロに等しいのではないでしょうか。こうした人材の選別なしに、指導、教育を画一的にやってしまうと思わぬサンクコスト(埋没費用)の発生となってしまうのです。
サンクコストを避けるための方策は、「適材適所」と「適正処遇」でしょう。
「適材適所」は古くから言われていることですが、これが非常に難しい。しかし、時間がかかっても人材をきちんと観察すれば、それなりの回答は出てくるものです。消極的グループに属する人に積極的グループに属する人の仕事を遂行させるのは不可能なのです。
「適正処遇」は「仕事評価と能力評価による処遇」でしょう。生活保障を考慮した賃金制度を否定はしませんが、あるレベルからは積極的グループと消極的グループとの間には評価に何十倍、何百倍の差がでるわけですから処遇に差が出て当然です。(これを勝ち組、負け組といって非難する人もいますが、今までは負け組が不当に底上げされていたのでは・・・。)
「適材適所」と「適正処遇」のミスマッチは組織の疲弊、非効率を生み出すので要注意です。
組織は人材育成の前に、こうした選別を認識する必要があります。特に中小企業では人数が少ないので、全員一律の人材育成を適用してしまいがちですが、大半が消極的グループの場合はなんの効果も得られない可能性が大です。人材の入れ替えも考えなければなりません。
ブランドの世界が個別マーケティングにシフトするように、人材育成も個別化で対応しなければならない環境となりつつあるのでは・・・。


